「グランドスタッフは顔採用」「空港のカウンターは綺麗な人しかいない」。航空業界を志望していると、必ずこの噂に行き当たります。
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JALスカイとANAエアポートサービスの公式募集要項を読むと、応募資格に身体条件も容姿の条件も一行もありませんでした。代わりに書かれていたのは、英語力と交替制勤務でした。
グランドスタッフの採用枠は「一般職」が圧倒的多数です。JALスカイでは総合職約10名に対し一般職約250名。噂が立つ典型的な構造がここにあります。ただし募集要項に書かれている条件は英検2級/TOEIC550点程度と交替制勤務への対応で、身体条件の記載はありません。
まず、採用しているのは航空会社本体ではない
最初に押さえておくべき点です。空港カウンターのグランドスタッフを採用しているのは、JALやANAの本体ではなくグループ会社です。
| グループ | 採用会社 |
|---|---|
| JAL | 株式会社JALスカイ(ほか JALスカイ九州・JALスカイ金沢・JALスカイ仙台など地域会社) |
| ANA | ANAエアポートサービス株式会社 |
「JALの採用倍率は何十倍」といった話が出回りますが、それは本体の総合職やCAの数字です。グランドスタッフは別会社の別の募集要項で採られています。混同すると、必要な準備を間違えます。
一般職が約250名、総合職は約10名
JALスカイの新卒正社員募集要項に書かれている2コースです。
| 項目 | グローバルフィールドコース(総合職) | メインベースコース(一般職) |
|---|---|---|
| 採用予定 | 約10名 | 約250名 |
| 初任給 | 233,000円 | 203,000円 |
| 応募学歴 | 大学院・4年制大学 | 大学院・4年制大学・短期大学・専門学校・高等専門学校 |
採用人数の比が25対1です。グランドスタッフとして入る人のほとんどは一般職(メインベースコース)ということになります。
当サイトが企業25社を調べた範囲では、顔採用の噂が集まるのは「総合職とは別に、女性比率の高い一般職の枠がある会社」に偏っていました。グランドスタッフはその条件を、業界全体で満たしています。
初任給の差は30,000円。学歴要件も違います。一般職は短大・専門学校・高専からも応募できるため、母集団が大きくなり、倍率が上がります。その倍率の高さを説明する言葉として「顔採用」が使われている、というのが実態に近いはずです。
募集要項に書かれている本当の条件
両社の要項に共通して書かれていたのは、次の2つでした。
| 条件 | 記載内容 |
|---|---|
| 英語力 | 英検2級またはTOEIC550点程度以上が望ましい(JALスカイ)/旅客サービス業務は英検2級以上またはTOEIC550点以上が望ましい(ANAエアポートサービス) |
| 交替制勤務 | 交替制勤務に対応できること(JALスカイ)/土日祝日を含む交替制勤務、早朝・深夜・夜勤あり、1日実働平均7時間55分(ANAエアポートサービス) |
そして身長・体重・リーチといった身体条件は、どちらの要項にも記載がありませんでした。
ここはCA(客室乗務員)との大きな違いです。CAには保安要員として、収納棚に手が届くかを確認する身体条件がある会社があります。グランドスタッフは地上勤務なので、その要件がありません。
同じ空港、同じ会社、同じ人数でも噂が立たない職種
ANAエアポートサービスの2027年度募集を見ると、この噂の正体がはっきりします。
| 職種 | 採用予定 | 噂が立つか |
|---|---|---|
| 旅客サービス業務(カウンター・ゲート) | 250名程度 | 立つ |
| ランプサービス業務(航空機の地上支援) | 250名程度 | 立たない |
| オペレーションマネジメント業務 | 若干名 | 立たない |
旅客サービスとランプサービスは、同じ会社が同じ人数を採っています。それでも「顔採用」と言われるのは旅客サービスだけです。
違いは1つ。お客さんの正面に立つかどうかです。ランプサービスは航空機の周りで働くので、乗客から顔が見えません。基本給も応募資格も同じ会社の同じ枠組みなのに、噂は片方にしか立ちません。
これは会社が顔で選んでいるのではなく、見られる機会の差だと考えるのが自然です。同じ構造はアルバイトでも起きています。
選考で見られていること
JALスカイの選考は「書類選考、面接試験、適性検査等」と書かれています。制服を着る仕事なので、身だしなみの基準は接客業のなかでも厳しめです。ただしそれは整えられる部分の話です。
- 清潔感——制服がある職場は基準が明確です(面接前日のチェックリスト)
- 声——空港は騒がしく、アナウンスも仕事のうちです。通る声かどうかは実務的な判断材料になります(話し方・声・姿勢)
- 表情——遅延や欠航の場面で、不安な乗客と向き合う仕事です(表情の作り方)
- 英語——要項に数字で書かれている唯一の能力条件です。ここは対策すれば点が出ます
- 交替制勤務——早朝・深夜・夜勤に入れるかを面接で確認されます
並べてみると、顔立ち以外に準備できることばかりです。とくに英語のスコアは、悩んでいる時間を勉強に振り替えれば確実に上がります。
確認できなかったこと
- 応募者数と倍率——公表されていません。採用予定人数だけが公開されています
- 男女比——両社の募集要項に記載がありません
- 選考の評価項目——「面接試験、適性検査等」とあるのみで、評価基準の記載はありません
- 地域会社の要項——JALスカイ九州・金沢・仙台などは会社ごとに要項が異なります。この記事はJALスカイ(羽田・成田)の要項にもとづいています
よくある質問
- グランドスタッフに身長制限はありますか。
- JALスカイ・ANAエアポートサービスとも、募集要項に身体条件の記載はありませんでした。CAの一部にある身体条件は保安要員としての要件で、地上勤務のグランドスタッフには適用されません。
- 専門学校卒でも応募できますか。
- できます。JALスカイのメインベースコースは短期大学・専門学校・高等専門学校が対象に含まれ、こちらが採用約250名の主力枠です。ANAエアポートサービスも専門学校以上が対象です。
- 英語ができないと無理ですか。
- どちらも「望ましい」という書き方で、必須条件とは書かれていません。ただし数字で示されている唯一の能力条件なので、準備する価値は高いです。
- 総合職と一般職、どちらで応募すべきですか。
- JALスカイの場合、採用予定は総合職約10名・一般職約250名です。初任給は30,000円違い、応募できる学歴の範囲も違います。空港のカウンター業務が志望なら一般職が本流の枠になります。
まとめ
- グランドスタッフを採用しているのは航空会社本体ではなくJALスカイ/ANAエアポートサービスなどのグループ会社
- JALスカイの採用予定は総合職約10名に対し一般職約250名。噂が立つ構造がここにある
- 募集要項に身体条件・容姿の条件は一切なし。書かれているのは英検2級/TOEIC550点程度と交替制勤務
- ANAエアポートサービスは旅客サービスとランプサービスを同数250名ずつ募集しているが、噂が立つのは旅客サービスだけ
- 準備できるのは清潔感・声・表情・英語スコア・シフト対応の5つ
