「あそこは顔採用だから」と言われた。あるいは、落ちたあとに友人からそう慰められた。または自分で、そう思ってしまった。
この記事は、その言葉をどう扱えばいいかについて書きます。結論から言うと、この言葉はほとんどの場合、事実ではなく「説明」です。
「顔採用」は、答えではなく穴埋め
不採用通知には理由が書かれません。「今回はご期待に添えない結果となりました」で終わります。
ここに空白ができます。人は理由の分からない結果に耐えられないので、何かで埋めようとします。そのとき最も手近にある説明が「顔」です。
なぜ手近なのか。3つ理由があります。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 確かめようがない | 企業は選考基準を公表しません。だから「顔で落ちた」は、否定も証明もできません。反論されない説明は生き残ります |
| 自分のせいにならない | 「準備が足りなかった」は痛い。「顔で落とされた」なら、自分の努力の問題ではなくなります |
| 目に見える | 受かった人の顔は見えます。その人の準備量や受け答えは見えません。見えるものだけで説明が作られます |
実際に落ちる理由
採用側の事情を並べると、こうなります。どれも顔とは関係がありません。
- 枠がもう埋まっていた。採用人数は先に決まっています。同じ内容で応募しても、時期が違えば結果が変わります
- 条件が合わなかった。勤務地、シフト、入社時期、働ける期間。バイトなら、これが最大の要因です
- 先に決まった人がいた。あなたが劣っていたのではなく、別の人が条件に合っていた
- 面接での伝わり方。ここは顔ではなく、表情・声・話の組み立ての問題です
この言葉のいちばんの問題は、改善できる部分まで一緒に閉じてしまうことです。
「顔で落ちた」と結論づけると、次に何をすればいいのかが分からなくなります。顔は変えられないので、対策のしようがない。だから何もせずに次の面接に行き、また同じ結果になる。
本当は、表情・声・姿勢・話の組み立てという変えられる部分が残っているのに、そこに手をつける前に諦めてしまう。この言葉は、慰めのふりをして、可能性を閉じます。
他人に言われた場合
「あそこは顔採用だよ」と言われたとき、その人が何を根拠にしているかを考えてみてください。ほとんどの場合、根拠はこのどれかです。
- その会社の社員をSNSや広告で見た(=写真に出る人だけを見ている)
- 知り合いが落ちた(=その人の受け答えは見ていない)
- ネットで読んだ(=出どころをたどれない)
悪気があって言っているわけではありません。多くは慰めのつもりです。ただ、その慰めを真に受けると、あなたの次の一手が消えます。
「顔採用は当たり前」という言い方について
「見た目で判断されるのは当たり前だ」という主張もよく見かけます。これは半分正しく、半分間違っています。
正しい部分。人が人を見るとき、第一印象は確かに影響します。これは否定できません。
間違っている部分。そこで見られているのは顔立ちではありません。清潔感、表情、姿勢、声。「第一印象で判断される」ことと「顔立ちで判断される」ことは、まったく別の話です。
この2つを混ぜると、「どうせ顔だから」という結論になります。分けて考えれば、やることが見えてきます。
次にやること
| やること | なぜ |
|---|---|
| 自分が話しているところを撮る | スマホで十分です。ほとんどの人は、自分の表情が想像より動いていないことに驚きます。これが一番効きます |
| 第三者に見てもらう | 自分では気づけません。大学のキャリアセンター、就活エージェントの模擬面接など、無料で使える場があります |
| 清潔感を一通り確認する | 髪・肌・爪・服のシワ・におい。チェックリストで機械的に潰せます |
| 条件を変えて応募し直す | 時期、店舗、職種。同じ内容でも結果が変わることがあります |
順番は上からです。いちばん効くのは、自分の話している姿を一度見ることです。ほとんどの人はこれをやらないまま、顔のせいにしています。
それでも気になるなら
見た目が評価に入りにくい仕事は実際にあります。顔採用が少ない仕事やスキルで評価される仕事で整理しています。
ただ、そちらへ逃げる前に一度だけ、自分が話している映像を見てみてください。変えられる部分がどれだけ残っているか、そこで分かります。
よくある質問
- 面接官に落ちた理由を聞けますか。
- 直接聞いても答えてもらえないことがほとんどです。ただし転職エージェント経由の場合、企業側の見送り理由が担当者に伝わることがあります。「顔で落とされた」という思い込みは、本当の理由を知るだけで消えることがあります。
- 顔採用は違法ではないのですか。
- 採用の自由という考え方があり、単純に違法と言い切れる話ではありません。詳しくは顔採用は違法?で扱っています。
- 何社も落ちて自信がありません。
- 連続して落ちているなら、共通する原因がある可能性があります。それは顔立ちではなく、受け答えの型か、応募先の選び方のことが多いです。一度、第三者に見てもらってください。
まとめ
- 「顔採用」は事実ではなく、理由の分からない結果を埋めるための説明であることがほとんど
- 確かめようがなく、自分のせいにならず、目に見える。だから広まる
- この言葉で片づけると、改善できる部分まで一緒に閉じてしまう
- 「第一印象で判断される」ことと「顔立ちで判断される」ことは別の話
- まずは自分が話している映像を一度見ること。ここが一番効く
